SFTS感染か ネコの診療に関わった獣医師が死亡

時事

動物医療に携わる現場で、命を支えるはずの治療が、思わぬ感染症リスクにさらされることがあります。2024年、日本国内の動物病院に勤務していた獣医師が、SFTS(重症熱性血小板減少症候群)に感染し死亡した可能性があると報じられました。感染源として治療にあたっていたネコが疑われており、獣医師会も注意を呼びかけています。

ネコ治療した獣医師死亡、マダニ感染症疑い 獣医師会が注意呼びかけ

ネコ治療した獣医師死亡、マダニ感染症疑い 獣医師会が注意呼びかけ(朝日新聞) - Yahoo!ニュース
マダニを通じてウイルスが哺乳類に感染する重症熱性血小板減少症候群(SFTS)について、感染したネコの治療にあたっていた獣医師が死亡していたことが、わかった。獣医師も感染していた疑いがあるという。

何が起きたのか?

50代の男性獣医師が診療にあたったネコが、その後SFTSウイルスに感染していたことが判明。このネコは治療後に死亡し、感染源はマダニと考えられています。獣医師自身にマダニの刺し傷などは確認されておらず、診療時の接触を通じてウイルスに感染した可能性があると見られています。

SFTSとは?

SFTS(Severe Fever with Thrombocytopenia Syndrome)は、主にマダニを媒介とするウイルス感染症です。発熱や消化器症状、血小板減少などを引き起こし、重症化すると死亡に至ることもあります。致死率は10〜30%とされ、ワクチンや特効薬は現在存在しません。

なぜネコから感染するのか?

SFTSに感染したネコやイヌなどは、唾液や血液などの体液にウイルスを保持している可能性があります。診療中に引っかかれたり、体液が皮膚の傷や粘膜に触れたりすることで、人への感染が起こるケースが過去にも報告されています。

今回のように「マダニから人へ」ではなく「動物から人へ」感染した疑いがある事例は、今後も注意が必要です。

ネコがSFTS(重症熱性血小板減少症候群)に感染するルート

SFTSは、マダニが媒介するウイルス性感染症で、人間だけでなく動物も感染します。
ネコがこの病気に感染する主なルートは、野外でのマダニとの接触です。

ネコが草むらや公園などに出かけた際、そこに生息するマダニに皮膚を刺される(吸血される)ことで、体内にSFTSウイルスが入り込むことがあります。
このウイルスに感染したネコは、しばらくの潜伏期間を経て、発熱や食欲不振、元気がない、嘔吐、下痢などの症状を示すようになります。重症化すると、数日で死亡するケースもあります。

また、ネコは狩猟本能が強いため、野ネズミや鳥などの小動物を捕まえることがありますが、これらの動物がSFTSウイルスを持っていた場合、捕食行動を通じて感染する可能性もあると考えられています。

つまり、
「屋外でのマダニの刺咬」および「SFTSウイルスを持つ動物との接触」が、ネコがこの病気に感染する主なルートです。

ネコにマダニが付かないようにする7つの対策

1. 完全室内飼いを徹底する

最も確実な方法です。
マダニは草むら・雑木林・公園など屋外に多く生息しています。
外出しないことでマダニとの接触リスクをほぼゼロにできます。

2. 月1回のマダニ予防薬を使用する

動物病院や通販で購入できるスポットタイプ(首に垂らす)や錠剤タイプのマダニ駆除・予防薬を使いましょう。

🐾 主な製品例:

  • フロントラインプラス(スポット型)
  • ブラベクト(飲み薬タイプ)
  • レボリューション、ネクスガードなど

いずれも1ヶ月〜3ヶ月の効果があり、寄生前・寄生後にも対応可能です。

3. ベランダや玄関先の草・雑草を定期的に掃除する

屋外に出さないつもりでも、玄関・網戸・ベランダ周辺にマダニが侵入してくることも。こまめに掃除・除草し、マダニの隠れ場所を作らないことが大切です。

4. 散歩後・帰宅後に全身チェックする(外出ネコの場合)

一時的に外に出るネコや、屋外を自由に歩けるネコは、帰宅後すぐに耳の裏・首周り・足・お腹・しっぽの付け根などを目視チェックしましょう。
マダニはすぐに吸血せず、数時間〜半日ほどかけて吸着するため、その間に取り除ける可能性があります。

5. 布団やキャットタワーも清潔に保つ

屋内に持ち込まれたマダニが寝具やクッションなどの布素材に潜むこともあります。ネコがよく使う布類は洗濯・天日干しなどを定期的に行いましょう。

6. 人間の服や靴にも注意

飼い主が山や草むらなどに出かけた場合、マダニが衣服・靴・バッグに付着して家に入ってくるケースもあります。帰宅後は服を払う・靴を脱いで玄関で着替える習慣が◎。

7. 動物病院で定期チェックを

年1回の健康診断やワクチン接種の際に、マダニ予防についても相談することで、その子に合った薬やケア方法を教えてもらえます。

日本獣医師会の対応と呼びかけ

日本獣医師会はこの事例を受けて、ネコやイヌの診療時における個人防護具(手袋、マスク、ゴーグルなど)の着用の徹底を呼びかけています。特に野外で活動していた動物や体調不良の個体を診察する際には、十分な感染対策が必要です。

まとめ

ペットは大切な家族の一員です。
だからこそ、感染症のリスクにもしっかりと目を向けて、
小さな変化を見逃さない「思いやりのある暮らし」を大切にしたいですね。

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